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AI検索・AI活用

AI生成の文章と著作権|ブログ・ホームページに使う前に確かめる5つのこと

AIで作った文章をブログやホームページに載せてよいか不安な方へ。文化庁「AIと著作権に関する考え方について」と著作権法の条文をもとに、AI生成物に著作権は生まれるのか、他人の著作権を侵害するのはどんなときか、公開前に確かめる5つのことを、専門用語をできるだけ使わずに解説します。

目次(24)

AIに頼めば、ブログ記事やホームページの文章は数分で下書きができます。便利な一方で、「AIが書いた文章を自分のサイトに載せて、誰かの著作権を侵害しないだろうか」「そもそもAIで作った文章は自分のものと言えるのだろうか」と気になって、公開ボタンの前で手が止まる方は少なくありません。

この記事では、文化庁が公表している「AIと著作権に関する考え方について」(2024年3月、文化審議会 著作権分科会 法制度小委員会)と「AIと著作権に関するチェックリスト&ガイダンス」(2024年7月、文化庁著作権課)、そして著作権法の条文だけを根拠に、AIで作った文章と著作権の関係を整理します。そのうえで、ブログやホームページに使う前に自分で確かめておきたい5つのことを、具体的な手順に落として紹介します。

はじめにお断りしておくと、著作権の問題は最終的には一つひとつの事情で判断されます。この記事は公的な資料に書かれている考え方を分かりやすく紹介するもので、個別の案件について「これなら大丈夫」と保証するものではありません。実際にトラブルになりそうなときや、判断に迷うときは、弁護士など著作権に詳しい専門家に相談してください。

結論:AIと著作権は「3つの問い」に分けて考える

AIと著作権の話は、「AIが学ぶとき」「AIで作って使うとき」「できたものに著作権があるか」の3つに分けると整理できます。文化庁の「考え方」も、この区分で説明しています。

ニュースやSNSで「AIと著作権」が話題になるとき、この3つが混ざったまま語られることがよくあります。たとえば「AIの学習は著作権者の許可なくできるらしい」という話と、「AIで作った文章をブログに載せても大丈夫か」という話は、まったく別の問いです。前者はAIを作る会社の側の話で、後者はAIを使う私たちの側の話だからです。

AIと著作権の3つの問い

ひとつめの「AIが学ぶとき」は、AIを開発する会社が大量の文章や画像を読み込ませる段階です。著作権法の第30条の4は、作品を楽しむこと(法律の言葉では「享受」)を目的としない使い方なら、原則として著作権者の許可なく作品を使えると定めています。AIの学習は、この条文の対象になりうる代表例として「考え方」で取り上げられています。ただし、条文のただし書きで「著作権者の利益を不当に害することとなる場合」は除かれています。また「考え方」の概要は、学習に使う作品と創作的な表現が共通したものを出力させることを目的とした追加の学習のためにデータを集める場合などは、作品を楽しむ目的もあわせ持つため、この条文は使えないと整理しています。

ふたつめの「AIで作って使うとき」が、ブログやホームページを運営する私たちに一番関係する部分です。文化庁の「考え方」の概要は、AIで作ったものを公開したり販売したりする場合も、「通常の著作権侵害と同様の基準」で侵害かどうかを判断すると説明しています。つまり、AIを使ったかどうかで特別なルールが新しくできるわけではなく、人が書いた文章と同じ物差しで「他人の作品をまねていないか」が問われます。

みっつめの「できたものに著作権があるか」は、AIで作った文章が、法律で守られる「著作物」になるかどうかという問いです。ここは「他人の権利を侵害していないか」とは別の問題で、たとえ自分の文章に著作権があったとしても、他人の作品に似ていれば侵害になりえます。文化庁のチェックリストも、この2つを混同しないよう、社内で正しく理解しておくことを求めています。

この記事では、ブログ運営者に関係の深い「ふたつめ」と「みっつめ」を中心に解説します。AIの開発や学習データの集め方そのものを詳しく知りたい方は、文化庁のAIと著作権のページ(外部サイト・新しいタブで開きます)にまとまっている資料を直接読むのが確実です。

AIで作った文章に著作権は生まれるのか

AIがほぼ自動で作った文章は、原則として著作物にあたらないと考えられています。一方、人が道具としてAIを使い、創作的に手を入れた部分は著作物になりえます。

著作権法の第2条第1項第1号は、著作物を「思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」と定めています(e-Gov法令検索 著作権法(外部サイト・新しいタブで開きます))。文化庁の「考え方」の概要は、この定義にあてはめて、AIが自律的に作ったものは「思想又は感情を創作的に表現したもの」ではなく、著作物にあたらないと考えられる、と説明しています。

また、同じ資料には、著作権法で「著作者」になれるのは人(個人または会社などの法人)だけで、AIそのものが著作者になることはない、とも書かれています。「AIが書いたのだから著作権はAIのもの」という心配は、日本の著作権法のもとでは当てはまりません。

指示を出して生成ボタンを押しただけの文章

文化庁の概要は、AIが自律的に作ったものの例として、人が何も指示しないか、簡単な指示を出すだけで「生成」ボタンを押してできたもの、を挙げています。ブログでいえば、「〇〇について2000字の記事を書いて」とだけ頼んで、出てきた文章をそのまま貼り付けたような場合が、これに近いと考えられます。

このような文章は、原則として著作物にあたらない可能性が高いと考えられます。著作物にあたらないということは、法律上は著作権で守られないということです。もし誰かがその文章をそのまま自分のサイトに転載しても、著作権を理由に止めるのは難しくなるかもしれません。

ここで誤解しやすいのは、「著作権が生まれない=使ってはいけない」ではない点です。自分のサイトに載せること自体は、他人の権利を侵害していない限り問題になりません。ただ、自分の記事として守りたいなら、次に説明するように、人が手を入れた部分をつくっておくことに意味があります。

人の手がどこまで入れば「自分の著作物」になりうるか

文化庁の「考え方」の概要によると、人がAIを「道具」として使ったといえるかどうかは、人に「創作意図」があるか、そして人が「創作的寄与」と認められる行為をしたか、で判断されます。創作的寄与とは、ざっくりいえば「表現の中身そのものに、人の工夫がどれだけ入っているか」です。

AI生成物が著作物になるかの判断要素

概要が挙げている判断要素を、ブログの文章づくりに置きかえて整理すると次のようになります。

判断要素文化庁の概要での考え方ブログでいうと
指示の内容と量表現を具体的に示す詳しい指示は、創作的寄与があると評価される可能性を高める。長い指示でも、アイデアを示すだけなら影響しない「親しみやすく」「500字で」といった方向づけだけでは足りず、文章の表現そのものを具体的に示すような指示かどうか
生成の試行回数回数が多いこと自体は影響しない。生成物を確認し、指示を直しながら繰り返す場合は、著作物と認められる場合もある何十回やり直したかではなく、結果を見て表現を直す指示を重ねたか
複数案からの選択選ぶだけの行為は影響しない5案の中から1つを選んで貼っただけでは、自分の創作とは言いにくい
人による加筆・修正創作的な表現といえる加筆・修正をした部分は、通常、著作物と認められる自分の体験談や言い回しを書き足し、構成を組み替えた部分

この表から分かるのは、「AIへの指示を長く書いた」「何回もやり直した」という労力だけでは足りず、表現そのものにどれだけ人の工夫が入ったかが問われる、ということです。概要は、AI生成物の著作物性は個々の生成物ごとに個別具体的な事情で判断され、「AI生成物であること」で一律に決まるものではない、とも明記しています。

ブログ運営者にとっての現実的な結論は、「AIの下書きに、自分の言葉・経験・判断を加えて仕上げた部分は、自分の著作物として扱える可能性が高い」ということです。逆に、AIの出力をほぼそのまま載せている部分は、法律上守られない可能性があると考えておくのが安全です。

つむぎのヘルプにある「著作権はあなたのもの」との関係

AIで記事の下書きを作るサービスの中には、利用規約やヘルプで「作った記事の権利は利用者のもの」と書いているものがあります。つむぎも、よくある質問で、出力した記事の著作権とデータは利用者のもので、いつでも書き出して持ち出せると案内しています。

これは、サービスの提供者と利用者のあいだで、記事を誰が持つのかを決めた取り決めです。記事はつむぎではなく利用者のものであり、書き出した記事は解約後もそのまま使い続けられる、という意味です。

一方で、その文章に法律上の著作権が生まれるかどうかは、ここまで見てきたとおり、人がどれだけ創作的に関わったかで個別に判断されます。どのサービスを使っても、規約の書き方だけで決まる問題ではないと考えておくのが安全です。サービスとの取り決めとしては利用者のものであり、法律上の保護をより確かにしたいなら、自分で手を入れて仕上げる。この2つは矛盾せず、両方そろえておくのがいちばん安心です。

AIで作った記事が他人の著作権を侵害するのはどんなときか

AIで作った文章が他人の著作権を侵害するのは、既存の作品と「似ている(類似性)」ことと、その作品を「もとにした(依拠性)」ことの両方がそろったときです。人が書いた文章と同じ基準で判断されます。

文化庁の「考え方」の概要は、AIで作ったものをSNSなどに公開したり、複製して販売したりする場合も、通常の著作権侵害と同様の基準で判断すると説明しています。具体的には、既存の作品との類似性(創作的な表現が共通していること)と依拠性(既存の作品をもとに作ったこと)が認められ、さらに引用などの例外にもあたらない場合に、著作権侵害になります。

「似ている」と「元にした」の両方がそろうと侵害になりうる

裏返すと、AIで作った文章が既存の作品と似ていない、あるいはその作品をもとにしていない場合は、著作権侵害にはなりません。概要も、類似性または依拠性が認められない場合は、著作権者の許諾なく利用できると書いています。

ここでいう「似ている」は、テーマや話題が同じという意味ではありません。「SEOの基本」というテーマで書けば、どの記事も似た話題を扱います。問題になるのは、言い回し・文章の組み立て・具体的な表現といった、作者の工夫が出ている部分が共通しているかどうかです。

自分が知らなくても「元にした」とされることがある

AIを使うときに特に注意したいのが、依拠性の考え方です。人が自分で書く場合は、その作品を知らなければ「もとにした」とはいえません。ところがAIの場合、文化庁の概要は、AIの学習データにその作品が含まれていたことが立証されると、使った人がその作品を知らなくても、通常は依拠性があったと推認される、と説明しています。ただし同じ概要は、そのAIが「学習に使った作品の創作的な表現が出力される状態になっていない」場合には、使った人がその事情を示すことで、依拠性がないと判断される場合もありうる、とも書いています。

さらに、学習データに含まれているか分からない場合でも、権利者が「AIの利用者がその作品にアクセスできたこと」や「生成物がその作品と高い程度で似ていること」などを示せば、依拠性ありと推認させることができる、とされています。

文化庁のチェックリストも、AIは仕組み上、学習データに含まれる既存の作品と似たものを出力することがあり、利用者がその作品を知らなくても著作権侵害になることがある、とはっきり書いています。「自分は何もまねしていないのだから大丈夫」とは言い切れないのが、AIを使う場合の難しさです。だからこそ、次の章で紹介する「公開前に似た文章がないか確かめる」作業が大切になります。

作品名・記事名・著者名を指定して書かせる危険

依拠性が認められやすくなる使い方もあります。チェックリストによると、AIへの指示として既存の作品そのものを入力したり、作品のタイトルやキャラクター名などの固有名詞を入力したりすると、利用者がその作品を知っていたことを推認させる事情になり、依拠性が認められやすくなると考えられています。

ブログでいえば、次のような頼み方は避けたほうが安全です。

  • 他社の記事の本文を貼り付けて「これを言い換えて」と頼む
  • 「〇〇さんの本の第3章のように書いて」と、特定の作品名や著者名を指定する
  • 上位に表示されている記事を丸ごと読み込ませて「同じ構成で書いて」と頼む

チェックリストは、入力した作品と似たものを作らせる目的で既存の作品を入力すると、第30条の4が使えず、権利者の許諾が必要になる場合がある、とも説明しています。参考にした記事があるなら、要点を自分の言葉でメモし、そのメモをもとに書かせるほうが、表現をまねるおそれを小さくできます。

作って手元で見るのと、公開するのとでは判断が変わる

もうひとつ押さえておきたいのが、「作ること」と「使うこと」は別々に判断されるという点です。チェックリストによると、個人が私的に使う目的でAIに作らせる場合(著作権法第30条第1項)や、会社などの内部で、権利者の許諾を得て使うことを前提に検討の途中で作る場合(同法第30条の3)は、その範囲内であれば、権利者の許諾なく作ることができます。

一方、作ったものをインターネットで配信したり、複製したものを配ったりすることは、こうした例外の範囲の外になる場合が多いと考えられる、とチェックリストは説明しています。ブログやホームページへの掲載は、まさにインターネットでの配信です。「下書きを作って社内で眺めているだけ」のときは問題にならなくても、公開する段階では改めて確認が必要になる、と覚えておきましょう。

事実やアイデアそのものは守られない

逆に、著作権で守られないものもあります。著作権法の第10条第2項は、「事実の伝達にすぎない雑報及び時事の報道」は言語の著作物にあたらないと定めています。また文化庁の「考え方」の概要は、著作権法は「創作的表現」を守り「アイデア」は守らないため、いわゆる「作風」がアイデアにとどまる場合は、作風が共通しても著作権侵害にはならないと説明しています。ただし、アイデアと創作的表現の区別は、具体的な事案ごとに判断されるとも書かれています。

たとえば「○月○日に新しい制度が始まった」という事実や、「ブログは定期的に更新したほうがよい」という考え方そのものは、誰が書いても構いません。問題になるのは、それを伝える文章の具体的な表現をまねることです。AIが出した文章に、どこかで見たような言い回しがそのまま並んでいたら、事実を伝えている部分であっても、表現は自分の言葉に直しておくのが安心です。

ブログ・ホームページに使う前に確かめる5つのこと

公開前に確かめたいのは、似た文章がないか、他人の作品を指示に入れていないか、引用・画像の条件、作った記録、自分で仕上げたか、の5つです。どれも特別な道具なしで今日からできます。

ここからは、文化庁のチェックリストにある「AI利用者(業務利用者)」向けの取り組みを、ブログやホームページを運営する人の作業に置きかえて紹介します。会社のサイトで記事を出す場合は、担当者が替わっても同じ確認ができるよう、この5つを社内の決まりとして書き出しておくのもおすすめです。チェックリストも、AIの使い方について社内のルールを作っておくことや、万一の時の対応を前もって考えておくことを勧めています。

1. 似た文章がすでにネット上にないか検索する

チェックリストは、AIで作ったものを使う前に、まず既存の作品と似ていないかを確認することが必要だとし、その方法としてインターネット検索(文章検索・画像検索)の活用を挙げています。

やり方は簡単です。AIが出した文章の中から、特徴のある一文を20〜40字ほど選び、前後を半角のダブルクォーテーション(" ")で囲み、"特徴のある一文" のような形にしてからGoogleなどで検索します。こうすると、その文の並びと一致するページを探せます。1記事につき、見出しの直後の文や、言い回しが印象的な文を中心に、いくつか選んで試してみてください。

同じ文が見つかった場合は、その部分を自分の言葉で書き直します。よく使われる決まり文句(「いかがでしたか」など)が一致するのは問題になりにくいですが、数文にわたって同じ表現が続く場合は要注意です。

ただし、検索で見つからなかったからといって、似た作品がないと言い切れるわけではありません。本や雑誌、会員だけが読めるページなど、検索に出てこない文章もあるからです。検索はあくまで「明らかに似ているものを見落とさないための確認」と考え、次に紹介する、指示の見直しや自分での仕上げとあわせて行うのが大切です。

また、検索で一致するページが自社の過去の記事だった、ということもあります。自分の過去記事と同じ文章を何度も使うのは著作権の問題ではありませんが、読者にとっては同じ話のくり返しになります。せっかく確認するなら、自社サイトの中で内容が重なっていないかもあわせて見ておくと、記事の質も上がります。

2. 他人の文章・作品名を指示に入れていないか見直す

先ほど説明したとおり、他人の記事の本文や、特定の作品名・著者名をAIへの指示に入れると、依拠性が認められやすくなります。公開前に、その記事を作るときにどんな指示を出したかを振り返り、他人の文章を貼り付けて言い換えさせていないかを確認しましょう。

もし貼り付けて言い換えさせた部分があれば、その部分は一から書き直すのが安全です。言葉を少し入れ替えただけの文章は、表現の骨組みが元の文章と共通していることが多く、似ていると判断されるおそれがあります。

3. 引用と画像は、決まりと利用規約にそって使う

他人の文章をどうしても載せたい場合は、著作権法の引用のルールにそって使います(くわしくは次の章で説明します)。AIが本文の中で「〇〇によると」と他の記事の文章を持ってきている場合も、本当にその記事にその文章があるか、引用の形になっているかを確かめてください。AIは出典を取り違えたり、存在しない文章を作ったりすることがあります。

画像をAIで作った場合は、使った画像生成サービスの利用規約で、商用利用が認められているかを確認します。あわせて、Googleの画像検索などで、作った画像とよく似た既存の作品がないかを調べておきましょう。チェックリストが挙げる「画像検索の活用」は、この確認にあたります。

4. AIへの指示と下書きを記録しておく

チェックリストは、生成に使った指示文(いわゆるプロンプト)など、どのように作ったかを後から確認できる状態にしておくことを勧めています。理由は2つあります。ひとつは、似た作品があると指摘されたときに、その作品をもとにしていないことを説明しやすくするため。もうひとつは、自分の文章が著作物かどうかを説明するときに、どれだけ人が手を入れたかを示す材料になるためです。

ブログでいえば、AIに出した指示、AIが出した最初の下書き、自分が直した後の原稿を、記事ごとにひとつのフォルダやメモにまとめておくだけで十分です。日付が分かる形で残しておくと、あとから見返すときに困りません。

残しておくと役に立つのは、たとえば次のような内容です。

  • 記事のタイトルと公開した日
  • 使ったAIサービスの名前
  • AIに出した指示の全文(やり直した場合は、直した指示も)
  • AIが最初に出した下書き
  • 自分が書き足した部分、書き直した部分がわかる最終原稿
  • 参考にした資料や出典のページ

特に最後の「参考にした資料」は大切です。参考資料の要点を自分でメモしてからAIに書かせた、という記録があれば、他人の文章をそのまま入力していないことを示す材料になります。

5. 自分の言葉と経験を足して仕上げ、事実を確かめる

最後に、AIの下書きに自分の言葉・経験・判断を足して仕上げます。文化庁の概要が示すとおり、人が創作的に加筆・修正した部分は、通常、著作物と認められます。自分の店で実際にあったお客さまの質問、仕事の中で気づいたこと、数字の根拠になった資料などを書き足すことで、記事は自分の作品に近づきます。

たとえば、地域の工務店が「外壁塗装の時期」についてAIに下書きを作らせたとします。AIの下書きには「塗り替えの目安は何年ごとです」といった、どの記事にも書いてありそうな一般的な説明が並ぶはずです。ここに、「この地域は海に近く、塩害で傷みが早い家が多いので、うちでは8年目に一度点検をおすすめしています」「先月点検したお宅では、北側の壁だけ苔が目立っていました」といった、自分にしか書けない内容を足します。さらに、説明の順番を自社のお客さまがよく聞く質問の順に組み替え、言い回しも普段お客さまに話している言葉に直します。

こうして手を入れた部分は、表現の中身に人の工夫が入った部分です。文化庁の考え方に照らせば、著作物と認められる可能性が高い部分といえます。同時に、ほかの記事と似た文章になるおそれも小さくなり、読者にとっても「この会社に聞いてみたい」と思える記事になります。著作権の面でも、集客の面でも、自分で仕上げる作業がいちばん効きます。

あわせて、数字・日付・制度・他社の情報は、役所や会社の公式ページなど一次情報で確かめます。これは著作権そのものとは別の話ですが、AIの文章をそのまま載せて誤った情報を広めてしまうと、読者の信頼を失います。公開前の確認の手順は、AI文章チェックのやり方でくわしく紹介しています。

この5つを毎回まわすのは手間に感じるかもしれません。ただ、いちど自分なりの手順にしてしまえば、1記事あたりの確認は短い時間で終わるようになります。

引用するときの最低限の決まり

他人の文章を自分の記事に載せられるのは、著作権法第32条の「引用」の条件を満たすときです。条文は、公正な慣行に合うこと、目的上正当な範囲内であることを求めています。

著作権法の第32条第1項は、「公表された著作物は、引用して利用することができる」としたうえで、その引用は「公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならない」と定めています。さらに第48条は、第32条の引用などで作品を複製する場合に、出所(どこから持ってきたか)を、合理的と認められる方法と程度で明示しなければならないと定めています(いずれもe-Gov法令検索 著作権法(外部サイト・新しいタブで開きます))。

ブログで引用するときに、最低限意識しておきたいのは次の点です。

  • 引用する理由があること。自分の説明や意見を補うために、その文章を見せる必要があるか
  • 必要な範囲にとどめること。記事の大部分が他人の文章になっていないか
  • どこからどこまでが引用か、読者に分かるようにすること。引用部分を「」や引用の書式で区別する
  • 出所を書くこと。著者名やサイト名、記事のタイトル、ページへのリンクを添える

たとえば、この記事では著作権法の条文を「」でくくって本文と区別し、条文の番号と、e-Gov法令検索へのリンクを出所として添えています。法令の条文は、著作権法第13条第1号により、もともと著作権の対象外です。ここでは引用の義務があるからではなく、形の参考として紹介します。読者が自分の目で確かめられるよう原文を見せ、説明の中心はあくまで自分の文章にする。他の記事の一文を引用するときも、この形を目安にするとよいでしょう。

AIに「引用をつけて」と頼むと、出典らしきものを書き添えてくれることがあります。しかし、その出典が実在するか、引用した文章が本当にそのページにあるかは、必ず自分で開いて確かめてください。引用の細かな考え方は、判例や解説書でさらに整理されています。商品紹介やレビューのように引用が多くなりがちな記事を書く場合は、専門家の解説や文化庁の資料もあわせて確認しておくと安心です。

使うAIサービスの利用規約で見る場所

AIサービスの利用規約では、商用利用ができるか、作ったものの権利が誰にあるか、入力してはいけないものは何か、の3点を確認します。文化庁のチェックリストも、使う前の規約確認を求めています。

チェックリストは、AIサービスによっては、利用規約などで著作権侵害のおそれがある使い方(他人の著作物を入力することなど)を禁止または制限している場合があるとし、あらかじめ利用規約などを確認し、それに従って使うことが必要だとしています。また、そのAIがどんなデータで学習しているかなど、サービス提供者が公表している情報も確認しておくことが望ましいとしています。

規約は長く、読むのが大変です。少なくとも次の項目だけは、使い始める前と、規約が改定されたときに確かめておきましょう。

見る項目確かめたいこと
商用利用仕事のブログや会社のホームページに使ってよいか。無料プランと有料プランで扱いが違わないか
作ったものの権利生成した文章や画像の権利を、サービス側が利用者に認めているか
入力の禁止事項他人の著作物や個人情報の入力を禁じていないか
入力した内容の扱い入力した文章が、AIの学習などに使われる設定になっていないか。変更できるか
補償や責任の範囲生成物が権利侵害だと言われたとき、サービス側がどこまで責任を負うと書いているか

規約の内容はサービスごとに違い、改定されることもあります。この記事では特定のサービスの規約の中身には触れません。必ずそれぞれの公式ページで、最新の規約を確認してください。

なお、前の章でも触れたとおり、規約で「生成物の権利は利用者にある」と書かれていても、それはサービスとの取り決めです。他人の作品に似ていれば著作権侵害になりうること、法律上の著作権が生まれるかは人の関わり方で決まることは、規約の内容とは別に考えておく必要があります。

指摘を受けたとき・不安なときの動き方

公開した記事について著作権侵害の指摘を受けたら、まず該当部分を非公開にして事実を確かめ、必要なら専門家に相談します。あわてて反論するより、記録をもとに落ち着いて確認するのが先です。

文化庁の概要は、著作権侵害があった場合に権利者が取りうる措置として、新たな侵害物の生成の差止め、すでに生成された侵害物の利用(インターネット配信など)の差止め、侵害物の廃棄の請求などを挙げています。チェックリストはさらに、侵害した人に故意または過失がある場合の損害賠償の請求や、故意がある場合の刑事罰を求める告訴にも触れています。ブログの記事でいえば、記事の削除や公開停止を求められることが、まず考えられる対応です。

指摘を受けたときは、次の順で動くと落ち着いて対応できます。

  • 指摘された記事の該当部分を、いったん非公開にするか削除する
  • 相手が示す作品と、自分の記事を見比べて、どこが似ているかを確かめる
  • 「4. AIへの指示と下書きを記録しておく」で残した記録を見て、その作品をもとにしていないかを確認する
  • 判断がつかない、損害賠償を求められているなど、話が大きくなりそうなら弁護士に相談する

チェックリストは、AIを使う事業者が、万一の侵害に備えて、情報の共有、権利者への対応、原因の解明、再発防止といった対応を前もって考えておくことが望ましいとしています。小さな会社や個人のブログでも、「指摘が来たら誰が確認して、どこに相談するか」を決めておくだけで、いざというときの動きが変わります。

反対に、自分の記事がAIでまねされているのではないかと心配な場合もあるでしょう。文化庁のチェックリストは、権利者向けに、文化庁の「インターネット上の海賊版による著作権侵害対策についての相談窓口」と「文化芸術活動に関する法律相談窓口」で、AIと著作権に関する無料の弁護士相談を提供していると案内しています(2024年7月時点。最新の受付状況は文化庁の公式ページで確認してください)。

よくある思い込みと、公的資料での考え方

AIと著作権については、もっともらしい思い込みがいくつか広まっています。ここまでの内容をふまえて、よく見かけるものを公的資料の考え方と並べて整理しておきます。

よくある思い込み公的資料での考え方
AIで作ったものは著作権フリーだから、何に使っても大丈夫自分の文章に著作権が生まれないことと、他人の著作権を侵害しないことは別の問題。既存の作品と似ていて、それをもとにしたといえれば侵害になりうる
AIの学習は許可なくできるのだから、AIが出したものも自由に使える学習の段階と、作って使う段階は分けて考える。作ったものの公開は、通常の著作権侵害と同じ基準で判断される
規約に「商用利用OK」とあれば、権利の問題はない規約はサービスとの取り決め。他人の作品と似ていれば、規約とは関係なく侵害が問題になりうる
自分はその作品を知らないので、まねしたことにはならないAIの学習データにその作品が含まれていれば、知らなくても、もとにしたと推認されることがある
AIへの指示を長く書けば、できた文章は自分の著作物になる長さや試行回数だけでは決まらない。表現の中身に人の工夫がどれだけ入ったかで、個別に判断される
出典を書いておけば、他人の文章を載せてもよい出典を書くのは引用の条件のひとつにすぎない。引用の目的や範囲、引用部分の区別など、ほかの条件も満たす必要がある

どれも、ひとつめの「3つの問いを分ける」考え方を押さえておけば、迷わずに済むものばかりです。とくに一番上の「AIで作ったものは著作権フリー」という言い方は、「自分の文章が守られない可能性がある」という意味と、「他人の権利を気にしなくてよい」という意味が混ざっていて、誤解のもとになりやすいので注意しましょう。

会社でAIを使うなら決めておきたいこと

会社のホームページやブログでAIを使うなら、使ってよいサービス、入力してはいけないもの、公開前の確認、記録の残し方、指摘を受けたときの窓口を、簡単でよいので文書にしておくと安心です。

文化庁のチェックリストは、業務でAIを使う人や会社に向けて、使うAIの仕組みや特性を理解すること、利用規約を確認すること、従業員などに著作権の正しい理解を身につけてもらうこと、AIの使い方についての社内ルールを作ること、万一の侵害に備えた対応を考えておくことなどを挙げています。

小さな会社なら、次のような1枚のメモから始めれば十分です。

  • 仕事で使ってよいAIサービスの名前と、使うプラン
  • 入力してはいけないもの(他社の記事の本文、お客さまの個人情報など)
  • 公開前に必ず行う確認(この記事の「5つのこと」)
  • 指示文と下書きを残す場所
  • 著作権の指摘や問い合わせが来たときに、最初に連絡する担当者

担当者がひとりの会社でも、こうしたメモがあれば、担当が替わったときや、外部のライターに頼むときにも同じ基準で確認できます。チェックリストが「従業員等に対する適切な著作権教育」を挙げているように、ルールを作るだけでなく、なぜその確認が必要なのかを一緒に伝えておくことも大切です。この記事を社内で共有して、確認の手順を話し合うきっかけにしてもかまいません。

状況別の読み分け早見表

いま自分がどの段階にいるかで、読むべき場所が変わります。気になるところから読み直してください。

当てはまる状況次に読むところ・やること
AIで作った文章を、これからブログに載せたい「ブログ・ホームページに使う前に確かめる5つのこと」を順に確認する
AIで作った記事を、自分の作品として守りたい「人の手がどこまで入れば『自分の著作物』になりうるか」を読み、自分の言葉と経験を足す
他社の記事を参考にAIで書かせたことがある「作品名・記事名・著者名を指定して書かせる危険」を読み、該当部分を書き直す
他の記事の文章を載せたい「引用するときの最低限の決まり」で条件を確かめる
これからAIサービスを選ぶ「使うAIサービスの利用規約で見る場所」の表で規約を確かめる
著作権侵害だと指摘を受けた「指摘を受けたとき・不安なときの動き方」の順に動き、早めに専門家へ相談する

AIで下書きを作る流れそのものを知りたい方はAIブログ作成の始め方を、どのAIツールを使うか比べたい方は記事作成AIのおすすめ比較を、読みやすい記事の書き方を確かめたい方はSEOライティングの基本をあわせて読んでみてください。

本記事の情報について:本記事は、2026年10月14日時点で、文化庁「AIと著作権に関する考え方について」(2024年3月15日)とその概要、「AIと著作権に関するチェックリスト&ガイダンス」(2024年7月31日)、e-Gov法令検索の著作権法の条文を確認してまとめたものです。法律の考え方や各サービスの規約は変わることがあります。個別の案件については、弁護士など専門家に相談してください。資料の原文は、文化庁のAIと著作権に関する考え方について(概要)(外部サイト・新しいタブで開きます)、AIと著作権に関する考え方について(本体)(外部サイト・新しいタブで開きます)、AIと著作権に関するチェックリスト&ガイダンス(外部サイト・新しいタブで開きます)で読めます。

よくある質問

AIで作った文章と著作権について、よく調べられている疑問をまとめました。どれも一般的な考え方で、個別の事情によって結論が変わることがあります。

AIで作った文章をブログに載せるのは違法ですか?
AIを使ったこと自体は違法ではありません。問題になるのは、既存の作品と似ていて、それをもとにしたといえる場合です。公開前に似た文章がないか検索し、他人の文章を指示に入れていないかを確かめましょう。
AIで作った文章に著作権はありますか?
簡単な指示だけでAIが作った文章は、原則として著作物にあたらないと考えられています。人が創作的に加筆・修正した部分は、通常、著作物と認められます。判断は個々の文章ごとに行われます。
AIへの指示を長く工夫すれば著作権は生まれますか?
長さだけでは決まりません。文化庁の考え方では、表現を具体的に示す詳しい指示は評価される可能性を高めますが、アイデアを示すだけの指示なら長くても影響しないとされています。
AIが他の記事とそっくりな文章を出したら、自分の責任ですか?
AIの学習データにその記事が含まれていた場合、使った人がその記事を知らなくても、もとにしたと推認されることがあります。公開した人が責任を問われる可能性があるため、公開前の検索での確認が大切です。
AIで作った画像をホームページに使ってもいいですか?
使った画像生成サービスの利用規約で商用利用が認められているかを確かめ、画像検索で似た既存の作品がないかを調べてから使いましょう。考え方は文章と同じで、似ていてもとにした場合は侵害になりえます。
つむぎで作った記事の著作権は誰のものですか?
つむぎのよくある質問では、出力した記事の著作権とデータは利用者のもので、いつでも書き出して持ち出せると案内しています。法律上の保護をより確かにするには、自分の言葉や経験を足して仕上げるのがおすすめです。
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